Hinaの化学・旅行記

化学専攻の学生です。勉強に関することやや旅行について書きます。

東京都立の9庭園を紹介!(後編)

今回は東京都公園協会が管轄している都立文化財9庭園のうち3つを紹介していきます!

パンフレット|公園へ行こう!(公式パンフレットがこちらから無料ダウンロードできます)

今回ご紹介する庭園

7. 浜離宮恩賜庭園

8. 旧岩崎邸庭園

9. 向島百花園

7. 浜離宮恩賜庭園

浜離宮恩賜庭園
基本情報

アクセス:①大手門口 都営大江戸線汐留駅」から徒歩7分、JR京浜東北線・山手線・東京メトロ銀座線・都営浅草線「新橋駅」から徒歩12分 ②中の御門口 都営大江戸線ゆりかもめ汐留駅」から徒歩5分、JR京浜東北線・山手線「浜松町駅」から徒歩15分

入園料:一般300円、65歳以上150円(旧芝離宮恩賜庭園との園結びチケットあり、詳細は後述)

・おすすめの行き方

旧芝離宮恩賜庭園との園結びチケットを使うと50円引きになるのでオススメです。高層ビルが立ち並ぶ都会にあるため、浜松町駅から浜離宮までの歩道が結構複雑です。

・沿革

元々は江戸城東京湾の出城として使われていましたが、鴨場、鷹狩場、将軍家の別邸などが立って段々と豪華になっていき、現在の形は化政文化が栄えた時代の江戸幕府11代将軍徳川家斉の時代に完成しました。そして皇室の離宮となり「浜離宮」の名がつけられ、その後東京都に管理が移り現在に至ります。

・見どころ

この庭園は敷地面積がかなり広いので色々な景色を楽しむことができるのが最大の魅力だと思います。

まずオススメしたいのが、庭園東側から楽しむことができる東京湾の風景です。レインボーブリッジや水門を見ることができます。実はこの庭園の大きな特徴として「潮入庭園」であることが挙げられます。「潮入庭園」とは海水を園内に引き込んでいる庭園のことで、潮の干満による庭園の様相の変化を楽しむことができます。都内では旧芝離宮恩賜庭園や旧安田邸庭園などに見られますが、現在は機能していなかったりポンプ式になっていたりするので、自然な形で現存しているのは全国的に見てもレアだったりします。

また、御茶屋が四つ建っておりいずれも美しいです。特に鷹の御茶屋は鷹狩りに使う鷹を収容していた場所で、裏に回ると鷹のレプリカが置かれているので是非見てみてください。

6代将軍家宣の時代に植えられたと伝わる樹齢三百年の非常に大きな松が入り口付近にあります。

敷地面積の多くを占めているのにも拘らず人気が少なく、なんとなく不気味なオーラを放っているのが二つの鴨場です。「鴨場」とはアヒルを使って鴨を誘導し飛び立つ瞬間を網で捕獲するという漁を楽しんだ場所です。周囲が緑に囲まれているため薄暗くてちょっと怖いですが、当時の遺構がかなり綺麗に残っているので、行ってみることをおすすめします。

8. 旧岩崎邸庭園

旧岩崎邸庭園
基本情報

アクセス:東京メトロ千代田線「湯島駅(1番出口)」から徒歩3分、都営大江戸線上野御徒町駅」から徒歩10分、東京メトロ銀座線「上野広小路駅」から徒歩10分、JR山手線・京浜東北線御徒町駅」から徒歩15分

入園料:一般400円、65歳以上200円

東大病院の近くにあります。

・沿革

三菱創業者である岩崎弥太郎の長男久彌の本邸として建てられました。今回紹介している9庭園は岩崎の別邸として用いられた過去があるものが多いのですが、こちらはその岩崎の本邸、ということになります。現在は当時の1/3ほどの敷地面積になっています。

・見どころ

本庭園はジョサイア・コンドル(前編で登場した旧古河の洋館の設計者)設計の洋館・撞球室等の見学がメインで、庭園自体はお気持ち程度という感じですね。

しかし財閥の本邸ということもあって内装・外観共に豪華なので大いに見学し甲斐があります。実際に使用されていた本棚や食器などを見ることが出来ます。

洋館ばかりに注目しがちですが和館も併設されています。全体として当時のまま綺麗に残っているそうでオススメです。

9. 向島百花園

向島百花園
基本情報

アクセス:東部伊勢崎線東向島駅」から徒歩8分、京成電鉄押上線京成曳舟駅」から徒歩13分

入園料:一般150円、65歳以上70円

・沿革

化政文化の時代に骨董商が草木鑑賞のための花園として開園したのが始まりです。四季百花の乱れ咲く園、という意味で名付けられたそうです。

・見どころ

この庭園の魅力はなんといっても多種多様な花が植えられているところにあります。(あくまで草木鑑賞がメインで、庭園鑑賞はそのついでみたいな感じです。)

まず入り口から入って見えるのが秋の七草、その先には春の七草、夏の七草と続きます。さらに奥の方に入っていくと、池とそれを囲むように木々が植えられています。萩のトンネルが特に有名で、8・9月がシーズンらしいです。(私が行ったときはシーズン外だったので見れませんでした)

また、曳舟の周辺ということで、東京スカイツリーを借景としているも大きなポイントの一つです。花園にかかる橋の後ろにスカイツリーが写るような形で写真を撮ることが出来ます。

園内には計29個の句碑が立っていることも大きな特徴の一つです。アクセスがあまり良くないということもあって人があまりいないので、静かに鑑賞できるというのもいいですね。

 

9庭園の紹介はここまでとなります!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

東京都立の9庭園を紹介!(中編)

今回は東京都公園協会が管轄している都立文化財9庭園のうち3つを紹介していきます!

パンフレット|公園へ行こう!(公式パンフレットがこちらから無料ダウンロードできます)

今回ご紹介する庭園

4. 殿ヶ谷戸庭園

5. 清澄庭園

6. 六義園

4.殿ヶ谷戸庭園(随冝園)

殿ヶ谷戸庭園(日本庭園)
基本情報

アクセス:JR中央線国分寺駅(南口)」から徒歩2分

入園料:一般150円、65歳以上70円

・沿革

殿ヶ谷戸庭園は、もともと三菱の社員の別荘として利用されていました。その後、三菱の社長である岩崎家の別荘となりました。当時の敷地面積は現在よりも広大だったそうです。

・見どころ

池が中心ではない林泉回遊式庭園の一つです。構造的には旧古河にかなり近いです。武蔵野段丘の崖線に作られており、上には萩のトンネルを含む洋風庭園、下には日本庭園があります。日本庭園は崖線からの澄んだ湧水を用いており、地の利を生かした構造になっています。

洋風庭園→(下る)→竹林→日本庭園→(上る)→茶室、のように高低差のある庭園を回り、加えて道が結構狭い場所もあったりするので、あたかも大自然の中を探検しているかのような感覚になれるのがこの庭園の最大の魅力だと思います。

紅葉亭という茶室があり、金魚や鹿おどしが風情を引き立てています。竹林があるのも都内だとレアですよね。馬頭観音という馬の供養のために建てられた碑まで歩くことができ、途中で石の上を歩いて川を渡るのですが、このときに水の澄み具合がよく確認できます。

また、庭園にしては珍しく洋館が展示室として開放されており、疲れた足を休めたり、庭園の歴史について学べるビデオを視聴することができます。

5. 清澄庭園

清澄庭園
基本情報

アクセス:都営大江戸線東京メトロ半蔵門線清澄白河駅(A3出口)」から徒歩3分

入園料:一般150円、65歳以上70円

・沿革

みかんや塩鮭で富を築いた紀州(現在の和歌山県)の豪商紀国屋文左衛門の屋敷跡を、下総国(現在の千葉県)にある利根川水運の要所、関宿藩の藩主が下屋敷とし庭園を建造したのが始まりです。その後明治時代になり、三菱創業者の岩崎弥太郎がこの土地を買い社員の慰安などに用いた後、東京市に寄付されました。

・見どころ

三菱の財力で全国から汽船で集めたとされる名石の数々がこの庭園の特徴であり大きな魅力の一つです。伊豆、伊予(現在の愛媛県)、紀州(現在の和歌山県)、生駒(現在の奈良県内)、備中(現在の岡山県)、讃岐(現在の香川県)などから集められたそうで本当にすごいですよね。

入り口からすぐのところにあるのが枯山水の庭で、石を用いて川が表現されています。休憩所があるので一休みしながら水の音を楽しむことができます。

ここで一つおすすめなのが磯渡りという入り口近くの仕掛けです。池に置かれた大きな石の上を歩いて渡ることができて楽しいです。

富士山を模した築山があるのですが、少し左に逸れるとこじんまりとした石仏群があり、落ち着いた雰囲気があります。また、近くに石組みの枯滝があり、本当に色々な石が配置されているなぁと感動します。

また庭園とはあまり関係ないですが清澄白河駅周辺はパン屋の激戦区としても有名なので、美味しそうなパンを買って帰るのもオススメです。

6. 六義園

六義園
基本情報

アクセス:JR山手線・東京メトロ南北線駒込駅」から徒歩7分都営三田線千石駅(A3出口)」から徒歩10分

入園料:一般300円、65歳以上150円(旧古河庭園との園結びチケットあり、詳細は後述)

・おすすめの行き方

旧古河庭園との園結びチケットを使うと50円引きになるのでオススメです。

・沿革

生類憐れみの令でお馴染みの江戸幕府5代将軍徳川綱吉の側近柳沢吉保により建造された後、三菱創業者の岩崎弥太郎が別荘としました。今回紹介している9庭園の多くが「三菱(岩崎)所有→東京市に寄付」の流れを辿っていますが、六義園も同じです。

・見どころ

勅撰和歌集である古今和歌集の解釈を伝える「古今伝授」という数少ない者にしか許されない伝承があるのですが、吉保はその伝授を受けるほど和歌に対する造詣が深い人物でした。それもあってか、和歌に詠まれている景勝地を模した仕掛けが園内に散りばめられています。まあ私はそこまで和歌に詳しくないので、色々見ても何のことだか分からなかったのですが、時間があれば調べて風景を比較してみると楽しいと思います。(ちなみに和歌山にある景勝地が多いです)

オススメスポットその1は藤代峠という山です。上の写真はこの山から撮ったものですが、後ろのビル群が借景となって大変良い眺望になっていることが分かります。

オススメスポットその2は蛛道(ささがにのみち)です。蜘蛛の巣のように狭い道が張り巡らせれており、加えて周囲が木々に囲まれているため探検気分で散策できます。

次回は後編として、最後の3庭園をご紹介します!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

東京都立の9庭園を紹介!(前編)

今回は、東京都公園協会が管理する都立文化財9庭園のうち、以下の3つをご紹介します!

パンフレット|公園へ行こう!(公式パンフレットがこちらから無料ダウンロードできます)

今回ご紹介する庭園

1. 旧古河庭園

2. 旧芝離宮恩賜庭園

3. 小石川後楽園

1.旧古河庭園

旧古河庭園洋館
基本情報

アクセス

入園料

  • 一般:150円
  • 65歳以上:70円
  • 六義園との共通チケットあり(詳細は後述)

・おすすめの行き方

1.7km離れた地点にある六義園(中編で紹介)との共通チケットがあり、50円安くなるため、上中里駅西ヶ原駅)→旧古河庭園六義園駒込駅の流れかその逆がオススメです。

・沿革

元々は日英通商航海条約での領事裁判権の撤廃や、日清戦争講和条約である下関条約を締結したことで知られる陸奥宗光の邸宅として使用されていましたが、宗光の次男が古河家の養子になったときに古河家の所有になりました。

戦後のGHQによる財閥解体の流れで、建物は古河家からホテルニューオータニで有名な大谷家へと引き継がれ、現在は大谷美術館が管理しています。

・見どころ

まず見どころとして挙げられるのは武蔵野台地の高低差を利用した庭園配置です。この庭園は、高いところに洋館・洋風庭園、低いところに日本庭園、という構造になっています。ここですごいのが、建物の1階(洋風)からは洋風庭園、和風の2階からは日本庭園が見えるように工夫が凝らされているところです。

ジョサイア・コンドル

そしてその洋館はジョサイア・コンドルによる設計です。ジョサイア・コンドルは明治時代にお雇い外国人として来日したイギリス人建築家で、鹿鳴館ニコライ堂、後に紹介する旧岩崎邸庭園洋館などを設計しています。東京駅を設計した辰野金吾迎賓館赤坂離宮を設計した片山東熊はコンドルの弟子です。

現在は大谷美術館が管理しており、入館料400円 or ガイドツアー800円を別途支払うことで見学することができます。

洋風庭園には種々のバラが植えられているため、好きなバラを見つけて写真を撮ったり、バラの佇まいから名前の由来を想像してみたり、と色々な楽しみ方ができます。

日本庭園は心字池、という「心」の草書体をかたどった池の周りを歩きながら様々な景色を楽しむ池泉回遊式の庭園で、枯滝や雪見灯籠などを楽しむことができます。高低差があるからこその大滝にも注目です。

また、この庭園は、実際にどのように使用されていたかが分かりやすいのも魅力の一つです。例えば南北に馬車道があったり日本庭園には舟着場があったりするので、豪邸に住んでいる気分になって一周してみるのもおすすめです。

 

2. 旧芝離宮恩賜庭園

旧芝離宮恩賜庭園(大山からの景色)
基本情報

アクセス

入園料

  • 一般:150円
  • 65歳以上:70円
  • 浜離宮恩賜庭園との共通チケットあり(詳細は後述)

・おすすめの行き方

こちらも1.7km離れた浜離宮恩賜庭園(後編で紹介)との園結びチケットがあり50円安くなるので、浜松町駅→旧芝離宮浜離宮→新橋駅かその逆の流れがおすすめです。

・沿革

江戸時代に作られた大名庭園の一つで、老中大久保忠朝江戸幕府4代将軍徳川家綱から拝領し邸宅としたのが始まりです。(実はこの大久保忠朝暴れん坊将軍で有名な徳川吉宗を引き立てたという話もあるらしいです)

そこから堀田→清水徳川→紀州徳川→有栖川宮宮内省東京市の所有者の変遷を経て現在一般公開されています。

・見どころ

旧古河と同じ池泉回遊式の庭園ですが、この庭園の魅力はなんといってもその密度にあるのではないかと思っています。他の庭園と比べて規模は小さいですが、目に映る景色が様々変化していくので、見かけの割に一周するのには時間がかかります。

この庭園の一押しポイントは大都会の中にあるというところです。上の写真を見ても分かるとおり、周りには多数の高層ビルが立ち並んでいます。現在と江戸時代の対比がありながらも、変わらない建築家の熱い想いを感じ取ることができるのはこの立地だからこそだと思います。

また、園内の二つの島は橋がかかっており自由に歩けます。比較的立ち入り禁止区域が少ないので、様々な仕掛けを間近に観察することができるのも魅力の一つで、例えば枯滝は中に入ることができたりします。

3. 小石川後楽園

小石川後楽園
基本情報

アクセス

入園料

  • 一般:300円
  • 65歳以上:150円

東京ドームのすぐ近くにあります。

・沿革

徳川家康の11男で、御三家の一つである水戸徳川家の祖である徳川頼房が屋敷内に作り始めたもので、水戸黄門のモデルとなった徳川光圀の手によって完成されました。全国でも数少ない特別史跡特別名勝の重複指定を受けた庭園です。

・見どころ

本庭園は池を中心としながらも山を築いたり、梅林を配置したりしているため回遊式築山林泉庭園と呼ばれています。実際に歩いてみると池、橋、石段、建築物等多種多様な景色を楽しむことができ、テーマパークを歩いているかのような感覚になります。私は川が流れている山の中を散歩するのが特に好きです。

徳川光圀儒学を重んじており、明から朱舜水という儒学者を呼んでいたということもあり、庭園には中国風の建築物が多数存在します。(「後楽園」の名も中国の文献から取られました)また、多くの景観は清水寺東福寺・琵琶湖などの京都周辺の場所を模しており、何が何に対応しているのかについて考えながら歩くのも楽しいです。

また、庭園内の稲田は光圀が農民の苦労を嗣子に教えるために作ったものであり、水戸黄門のモデルになった所以も納得できます。

次回は中編として、さらに3つの庭園を紹介予定です!ぜひお楽しみに。

ここまでお読みいただきありがとうございました!